町内会・自治会による赤十字の募金はいくら払う?集め方が違法になることも

町内会・自治会による赤十字の募金はいくら払う?集め方が違法になることも

町内会・自治会で日本赤十字社の募金活動が行われることがあります。

でも、「いくら募金すればいいのか」、「そもそも募金は本当に必要なのか」と悩んだことはありませんか?

また、募金の集め方が違法になることがあるという話も聞いたことがあるかもしれません。

今回は、町内会・自治会で行われる日本赤十字社の募金について、現役の町内会長であるヒラリがまとめました。

※この記事では、日本赤十字社を「赤十字」としています。

ヒラリ

このページの内容について、みなさんの町内会・自治会の情報を募集しています。詳細は「町内会・自治会の情報募集」をご覧ください。

目次

町内会・自治会が赤十字の募金をする理由

町内会・自治会が赤十字の募金をする理由

ヒラリが町内会長になって、しばらくの間、「町内会や自治会がなぜ赤十字の募金を集めるのか?」という疑問を持っていましたので、まずはその理由からお伝えしたいと思います。

毎年5月ごろに日本赤十字社の支部、または地域赤十字奉仕団から、町内会・自治会に募金の依頼があります。

地域赤十字奉仕団とは、市区町村に組織された日本赤十字社のボランティアグループです。

では、「なぜ、地域赤十字奉仕団が町内会・自治会に募金の依頼に来るのか?」ということについては、日本赤十字社の公式サイトに回答が掲載さ入れています。

会費の募集に、なぜ町内会の人などが来るのですか?

赤十字の活動は、地域福祉やボランティア活動など地域に根ざした活動を行っており、また、災害が発生すると、自治体や地域住民の方々と協力して救護活動を展開するなど、赤十字の活動は地域と密接なかかわりを有しています。

こうした活動を支えていただくため、地域の皆さまには、会費へのご協力をお願いしているのですが、その際、赤十字ボランティアが直接お宅を訪問しお願いに伺うほか、それが困難な場合には、自治会・町内会の方々にご協力をお願いする場合があります。

引用元:日本赤十字社|よくあるご質問

「日本赤十字社の支部、または地域赤十字奉仕団が町内会・自治会に募金のお願い来る」→「町内会長・自治会長が住民のみなさんに募金をお願いする」という流れで、みなさんのところに赤十字への募金の話がきます。

ヒラリ

ヒラリの町内会には、地域赤十字奉仕団から募金の依頼は来なくて、学区へ来るようになっています。

町内会・自治会の赤十字への募金はいくら払うのがいい?

町内会・自治会の赤十字への募金はいくら払うのがいい?

町内会・自治会から赤十字の募金を呼びかけられたとき、いくら払ったいいのか迷うこともあるかと思います。

赤十字に限らず、募金はいくらでも構いません

例えば、駅前で募金活動している人が持っている箱にお金を入れるとき、金額は決められていませんよね。

赤十字の募金もそれと同じです。

「赤十字の募金は500円じゃなければいけないって聞いたんだけど」と思う人もいるかしれませんが、これは赤十字や市区町村が募金(寄付)の目安を500円としてチラシや公式サイトに掲載していたり、町内会・自治会が独自に決めているだけに過ぎません。

船橋市の公式サイトに掲載されている赤十字への募金では「500円を目安」とあります。

金額も自由意志でお願いしておりますが、金額の目安がないと寄付しにくいというお声を頂戴しておりますので、旧制度で基準とされていた500円を目安としてお示しすることがあります。

引用元:船橋市|赤十字活動資金へのご協力をお願いします(日本赤十字社 千葉県支部)

守谷市の公式サイトでは、「協力額も目安」としています。

ご協力金額の目安 500円

活動資金は寄付であり、協力そのものも自由意思に基づくもので強制ではありません。

協力額も目安ですので、500円未満、500円以上でも、日本赤十字社の活動資金として大切に充てさせていただきます。

引用元:守谷市|赤十字活動資金の募集

500円はあくまでも目安のため、赤十字への募金は500円以下の10円でも100円でもOKですし、「赤十字の活動をもっと支援したい」と思う人は、もっとたくさん募金をしてあげるといいと思います。

赤十字への募金に関する領収書は、赤十字奉仕団から町内会・自治会に対して、募金の合計金額としての領収書が発行されます。

ただ、場合によっては個人に赤十字奉仕団から領収書が出ることもありますので、募金をするときに確認してください。

ヒラリ

ヒラリの地域では、地域連合会がまとめて赤十字へ募金をしており、その領収書はもらったことがありません。

町内会・自治会による募金の集め方は違法の可能性あり

町内会・自治会による募金の集め方は違法の可能性あり

町内会・自治会で赤十字などの募金を集める場合、集め方によっては違法と見なされる場合があります。

ここでは町内会・自治会が行う良くない募金の集め方を3つご紹介します。

募金を強制的に集める

募金するかどうか、募金する金額は、本人の自由(任意)です。

そのため、町内会・自治会が強制的に募金を集めることはいけません。

町内会・自治会では、その年の班長・組長が赤十字の募金を集めに来て、「町内会または自治会のみんなが払っているから払ってもらわないと困ります」と言われることがあるかもしれません。

他の班・組に負けないように必死に募金を集める班長・組長がいたり、たくさんの募金を集めた班長・組長が優遇されたり、隣の町内会・自治会と募金の金額を競争しているところも存在するようです。

赤十字の公式サイトにも以下のようにあります。

ここでいう「会員」とは募金をする人のことを示します。

会費は毎年納めなければいけないのですか?

赤十字の事業は、継続的に行うことが必要な事業であるため、皆さまからの継続的なご支援(会費)によって支えられています。
会員への加入や退会は、ご本人の自由意思によるものであり、強制的なものではありません。

引用元:日本赤十字社|よくあるご質問

繰り返しますが、募金は本人の意志で決めればいいので、無理に支払うものではありません。

募金を集金のように集める

強制的に募金を集めるということでないにしろ、「今年も赤十字の募金の時期がやってきました。1世帯500円の募金をお願いします。」というように募金の金額が決められており、募金をすることが前提になっている集め方もいけません。

「募金するのが当然」という雰囲気では、本人の募金したいという気持ちが疎かにされてしまいます。

町内会費・自治会費からまとめて赤十字に募金する

みなさんが支払った町内会費・自治会費から赤十字にまとめて募金すること、いわゆる町内会費・自治会費から天引きしての募金はいけません。

これは違法という判例があり、総務省の公式サイトや野田市の公式サイトにもそのことが掲載されています。

簡単にまとめると以下のようになります。

  • 滋賀県甲賀市甲南町にある「希望ケ丘自治会」はグループ長・組長が個別に訪問して日本赤十字社や赤い羽根共同募金を集金していた。
  • 高齢者が多く、集金の負担が大きいため、グループ長・組長を避けようと休会する人も出てきた。
  • グループ長・組長の負担を解消するため、年会費6,000円の自治会費に募金や寄付金などの目的で2,000円分を上乗せした(合計8,000円)。
  • これに対して原告の住民男性5人は「寄付するかどうかは個人の自由」と反対し、自治会を相手に決議の無効確認等を求めて訴訟を起こした。

引用元:総務省|教材7「法教育の視点から ルールづくり」野田市|募金等のご協力のお願い

「被控訴人の会員の思想、信条の自由を侵害するものであって、公序良俗に反し無効というべきである。」という「希望ケ丘自治会」が自治会費から募金のお金を出すのは「違法」との判決が出ました。

実際に町内会長をしているヒラリの立場からすると「グループ長・組長の負担を減らしたい」という自治会側の気持ちは、よくわかります。

ただ、原告の言う通り「寄付するかどうかは個人の自由」のため、このように町内会費・自治会費から募金のお金を出してはいけません。

ヒラリの感覚では、年会費6,000円の自治会費が高く、それに2,000円も上乗せというのは、住民のみなさんの負担が大きくなってしまいます。

このような判例があるため、町内会費・自治会費から募金をまとめてすることを注意している市区町村もあります。

ここでは宇治市の公式サイトの内容を例としてご紹介します。

募金の回覧が多いため、会費から一括して募金してもいいですか?

 募金や寄付金を町内会・自治会の会費から支払うことは、過去に違法と判断された裁判例があります。
 募金や寄付行為は、個人の自由意思であり、会費から支払うことで、強制徴収となり、本来の趣旨にも反します。あくまで、任意で行われるべきものであり、強制することはできませんので、ご注意ください。

引用元:宇治市|町内会・自治会のよくあるお問い合わせ(FAQ)

このように裁判の判例があり、総務省や市区町村も注意しているにも関わらず、未だに町内会費・自治会費からまとめて募金をしている町内会・自治会があります。

現実問題として、募金があると班長・組長が動く必要があるため(集金ではなく希望者だけが募金するとしても)、「町内会費・自治会費から募金するほうが楽」という住民もいたりします。

赤十字の大切さをみんなに知ってもらって「町内会・自治会を通さずに赤十字に募金をする」という仕組みになるといいなと思います。

ヒラリ

ヒラリの町内会では募金はすべて個人の自由(任意)としています。

町内会・自治会が集める募金の断り方

町内会・自治会が集める募金の断り方

町内会・自治会から募金を求められたときの断り方はいろいろあります。

インターネットには「募金は個人の自由だから断ればいい」、「違法な集め方をしているから断ればいい」、「町内会や自治会自体が任意だからやめてしまえばいい」という意見もあります。

「周りの人にどう思われても全く構わない」という心の強い人であれば、こういった断り方でもいいのですが、断り方に悩んでいるという人は、今後の生活や周りの人との人間関係を考えて悩んでいるんだと思います。

募金を集めに来ている班長・組長も、募金を集めることに負担に感じていて、「本当は私もお願いしたくないけど、班長・組長の仕事で仕方なく来ているんです。」と募金のことを頼みづらいと思っているケースがよくあります。

そのため、募金を集めに来た班長・組長のこと、周りの人との関係を考えると、できるだけ「やんわりと丁寧に」断れるといいんじゃないかなとヒラリは思います。

よくある募金の断り方を一覧にしてみました。

  • ◯◯さん(班長・組長)には申し訳ありませんが、今回は遠慮させてください。
  • ご協力できなくて申し訳ありませんが、今回は難しいです。
  • お力になれず申し訳ありませんが、今回は見送らせてください。
  • 心苦しいのですが、今回は難しいです。
  • 今回は難しいですが、次回は・・・。
  • 今は余裕がなくて・・・。
  • 今回は家庭の事情で見送らせてください。
  • 今回は家計が厳しいくて・・・・。
  • 最近の物価高で家計が厳しくて・・・。
  • 赤十字には直接募金していますので・・・。※本当に募金しているときに限ります。
  • そういった集め方は法律的に問題があるみたいなので・・・。

横柄な態度で募金を集めに来る人には、しっかりと断った方がいい場合もありますので、ここでお伝えした募金の断り方は、あくまでも参考程度にしてください。

この記事のまとめ

日本赤十字社への募金は、地域赤十字奉仕団が町内会・自治会に依頼しています。

募金の金額については、赤十字が500円を「目安」としているだけのため、募金ができる範囲内の金額で問題ありません。

町内会費・自治会費から天引きして赤十字へまとめて募金することは違法です。

募金をしたくない場合は、できるだけ「やんわりと丁寧」に断ると人間関係に響く可能性が少なくなります。

募金はあくまでも個人の自由(任意)なので、強制されるようなことがあってはいけません。

ヒラリ

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この記事を書いた人

現役町内会長のヒラリです。
年齢は40代、子育てをしながら地元の町内会長をしています。
「町内会のとびら」では、ヒラリが町内会を運営するときに必要な情報をまとめたり、実際に体験や経験したことを記事にしています。
町内会・自治会のことが気になる人、運営している人に役立ててもらえると嬉しいです。

詳しいプロフィールは運営者情報でご覧ください。

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