地域によっては、町内会・自治会と神社が切っても切り離せない関係にあります。
地元の神社は氏神様として大切な存在ではありますが、町内会・自治会の仕事の一環として、神社のお祭りや清掃の手伝いまであると気が重くなる人もいます。
町内会長であり、地元の神社と密接に関係のあるヒラリが、神社の神道について考え、町内会・自治会と神社の関係や問題点、今後の関係性について、まとめました。
神社の神道は宗教?

町内会・自治会と神社の関係についてお話する前に、神社について知っておくとグッと理解が深まります。
多くの神社が加盟している神社本庁
日本には神社が約8万社あり、その約97%が神社本庁に所属している神社です。
「神社本庁とは何か?」ということについては、神社本庁の公式サイトに「祭祀の振興と神社の興隆、日本の伝統と文化を守り伝えること」とあります。
神社本庁は伊勢神宮を本宗と仰ぎ、昭和21年に設立されました。
引用元:神社本庁の公式サイト
以来今日まで、祭祀の振興と神社の興隆、日本の伝統と文化を守り伝えることに努めてきました。
この神社本庁の地方機関として、都道府県ごとに神社庁があります。
ただ、日光東照宮(栃木県日光市)や金刀比羅宮(香川県琴平町)のように全国的に有名な神社でも、神社庁に所属していない神社もあります。

ヒラリの住む町内にある神社も地元の神社庁に所属しているため、毎年神社庁に負担金を支払っています。
神社の多く宗教法人
全国の神社を取りまとめている神社本庁は宗教法人で、大半の神社も宗教法人です。
※宗教法人でない神社もあります。
宗教法人については、文化庁の公式サイトに以下のようにあります。
宗教法人は,教義をひろめ,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とする団体,つまり「宗教団体」が都道府県知事若しくは文部科学大臣の認証を経て法人格を取得したものです。
引用:文化庁|宗教法人とは



ヒラリの住む町内にある神社も宗教法人です。
神道は民族宗教
多くの神社は宗教法人ということは、神社の神道は世間一般で言う「宗教」となります。
神社本庁の公式サイトによると神道について以下のようにあります。
神社を中心とした、日本の神々への信仰が神道です。
引用元:神社本庁の公式サイト|神社と神道
神道は、日本の民族宗教といわれ、日本人の暮らしにとけ込んでいます。
引用元:神社本庁の公式サイト|神道とは
日本人にとって、神社は恋愛や仕事の祈願をしたり、初詣や七五三などの季節のイベントで行くところのため、宗教というイメージがあまりないかもしれませんが、他の宗教を信仰している人にとっては、「神道=宗教」です。
町内会・自治会と神社の関係


住んでいる地域に神社があると町内会・自治会が主となって、以下のような神社のお手伝いが発生することがあります。
- 神社の清掃
- お祭りの手伝い
- 大晦日や初詣の手伝い
- 初穂料など寄付の集金
神社のお手伝いをその年の班長(組長)が受け持ったり、町内会・自治会の全員が対象になっている町内会・自治会、町内会・自治会から神社の役員として選ばれた奉賛会会員がやっているところもあります。
お手伝いの後に食事会があり、そこで親睦を深めることもあります。
「氏神様だから町内会・自治会で神社に関わるのは当然」という人、「神社は神道という宗教だから宗教活動に町内会・自治会が関わるのはおかしい」「他の宗教を信仰しているため、神社には関われない」という人など、様々な考えの人がいます。
昔は当たり前に町内会・自治会が神社に関わってきたため、今の時代でもそれをそのまま引き継いでいる町内会・自治会も結構あります。



ヒラリが町内会長をしている町内にも神社があり、毎月の清掃、正月・春・秋・冬のお祓いの行事、春にはお祭りも一緒に開催されます。
町内会・自治会と神社における問題点


昔とは違い、今では町内会・自治会と神社の関係に様々な問題が出ています。
様々な宗教を信仰している人がいる
当たり前のお話ですが、世の中にはいろいろな宗教があり、同じ町内会・自治会、同じ地域に住むといっても、信仰している宗教が違います。
無宗教の人もいます。
確かに地元の神社は昔から氏神様とされ、町内会・自治会の人たちから大切にされてきました。
ただ、やはり神社も神道という宗教のため、「信仰が違う宗教に関わる神社の手伝いはしたくない」という人がいても不思議ではありません。
町内会・自治会の圧力や周りに住む人たちからの圧力で、無理やり手伝いをさせられている人がいることもあります。
町内会・自治会が氏子になっている
個々の人ではなく、町内会・自治会全体が神社の氏子になっていることもあり、規約に「〇〇町内会・自治会に入会にあたり、◯◯神社の氏子になる」という文言が掲載されています。
※氏子とは、その土地にある氏神(神様)を信仰する人のことを言います。
これの場合は、「町内会・自治会に入会=◯◯神社の氏子になる」ということになり、神社に関わることが当然という雰囲気になります。



ヒラリの町内会は町内会単位で氏子にはなっていませんが、同じ地域連合会にある町内会は町内会で氏子になっていて、神社の行事には町内会の役員が積極的に手伝っています。
人手不足
今まで町内会・自治会で神社を守ってきた高齢者は、神社の行事や清掃に協力的な人が多いのですが、若い世代になるとそういった考え方が希薄になり、参加する人が少なくなっています。



ヒラリの町内会では、神社が町内会の皆さんへのお願いという形で、毎月の神社の清掃をしていますが、参加してくれる人のほとんどが高齢者のため、数年後には誰も参加してくれなくなってしまいそうです。
今後の町内会・自治会と神社の関係について考えてみる


神社そのものや神社の伝統を守っていくという町内会・自治会の考え方は、とても素晴らしいものだと思います
ただ、今まで当たり前だった町内会・自治会と神社の関係を見直す時期に来ています。
町内会・自治会には様々な宗教を信仰している人がいますし、若い世代は夫婦共働きで忙しく、子どもがいる家庭は土日祝でも習い事があったり、スポーツ活動があったりします。
町内会・自治会とは別組織(ここでは奉賛会など氏子の集まり)を作り、町内会・自治会と神社を完全に分けて活動する必要があります。
奉賛会などの氏子を中心として、神社のお祭りなどの行事の開催や清掃をして、人手が足りなければ事情を説明しながら、同じ地域に住む人に協力を依頼すると町内会・自治会のみなさんも納得していただけるのではないでしょうか。
この場合、あくまでも「手伝ってくれる人を募集」にして、決して強制しないよう気をつけなければいけません。



ヒラリの町内では、長い間、町内会長が神社の総代になっていましたが、数代前の町内会長が町内会と神社を完全に分けてくれたので、町内会と神社の関係で悩むことが少なくなりました。
ただ、神社を守る会の人手不足が深刻なので、町内会長としては人探しなど可能な限り協力しています。
この記事のまとめ
今回は神社の神道、町内会・自治会と神社の関係性や問題点、ヒラリの考えについてお伝えしました。
町内会・自治会には、様々な宗教を信仰している人がいますし、若い世代は夫婦共働きで土日祝とはいえ、なかなか時間がとれません。
神社のお祭や清掃などの行事から町内会・自治会を切り離しつつ、奉賛会などの別組織を作って、いかに神社を守っていくかが今後の課題になります。