町内会長・自治会長は、地域のリーダーとしてさまざまな活動を行っています。
市区町村からの情報を町内会・自治会と共有したり、地域の安全を守ったり、住民同士の交流を促進するためのイベントを企画したりしています。
今回は、「町内会長・自治会長はどんな役割があって、どんな仕事をしているのか?」、町内会長・自治会長の地位(身分)について、気になる内容を現役町内会長のヒラリが経験や実体験を元にお伝えします。

このページの内容について、みなさんの町内会・自治会の情報を募集しています。詳細は「町内会・自治会の情報募集」をご覧ください。
町内会長・自治会長の役割は?


町内会長・自治会長は、地域のリーダーとし、住民が安心に安全に生活できるようにするために活動することが一番の役割です。
住民とのコミュニケーションを大切にして、住民からの意見や要望があれば、町内会・自治会の会合で話し合って解決したり、必要に応じて、市区町村などの行政に伝えたりします。
リーダーと言うといつも前向きで、人望があり、みんなを引っ張っていくような人物像を思い描くかもしれませんが、ヒラリを含めて、そういう人は町内会長・自治会長はなかなかいません。
町内会長・自治会長は、ボランティアで町内会・自治会を支えてくれる役員や部長・委員、組長・班長をまとめる役割ができれば、自然とうまく運営ができるようになります。



ヒラリはリーダーシップがあるタイプではありませんので、町内会の役員に相談しながら、町内会の運営をしています。
町内会長・自治会長の仕事内容は?


町内会長や自治会長の仕事について、現役町内会長のヒラリの経験を元にお伝えします。
町内会・自治会によって、会長だけでなく、副会長や会計、監査、部長・委員など、役割分担しながらする仕事もあります。
ここでは、町内会長・自治会長が主導する主な仕事をまとめています。
「うちの町内会・自治会の会長には、他にこういった仕事があるよ」と教えてくれる人は、ぜひ町内会・自治会のとびらにご連絡ください。
定例会議を開催する
毎月、または定期的に町内会・自治会の定例会議して、地域の問題やイベントについて話し合いを行います。
必要最低限の年度始まりの予算案と年度末の決算報告に関する会合だけの町内会・自治会もあります。
町内会長・自治会長を中心とした役員、部長・委員がメインになり、話し合いの内容によっては組長・班長も参加します。
定例会議の場所は、集会所や公民館、神社の社務所などがありますが、こういった場所がない場合は、喫茶店に集まることもあります。
話し合いの内容にもよりますが、事前に定例会議で話し合う内容をまとめた資料があると参加者が理解しやすくなりますので、手間はかかりますが資料があると便利です。
きちんとしている町内会・自治会では、定例会議をするたびに「日付」「場所」「参加者の氏名」「内容」「決定事項」「次の課題」などをまとめた議事録を作成して、後から確認できるようにいしています。



ヒラリの町内会では、年度始めと年度末の会合があり、必要に応じて臨時の会合を開いています。
イベントの企画や開催


町内会・自治会で行われる防犯パトロールや防災訓練、清掃活動、盆踊りなどのイベントを開催します。
基本的には毎年同じイベントが開催されますが、新しいイベントを企画することもあり、打ち合わせには、主に役員や部長・委員、組長・班長が参加します。
イベントの内容によっては、地元企業や個人に協賛金を募ることもあります。
イベントが多いと町内会長・自治会長をはじめとする主催者に負担がかかりますが、住民同士のコミュニケーションが取れるいい機会になります。



ヒラリの町内会には独自のイベントはほとんどありませんが、昔は町内会のイベントがたくさんあり、住民同士の関わり合いが今よりも強かったようです。
地区連合会に参加する
町内会長・自治会長は、周辺地域の町内会長・自治会長が集まる地区連合会に参加します。
地区連合会は、自治連合会、町内会連合会、連絡協議会など、地域によって呼び名が異なりますが、ここでは地区連合会に統一しています。
一般的に地区連合会は毎月開催されていて、以下のような話し合いが行われます。
情報の共有
地区連合会では、それぞれの地域で活動した内容や抱えている問題、課題について情報を共有します。
例えば、町内会・自治会の防犯パトロールや防災訓練の報告、ごみ捨て場がいつも汚れている、外国人の対応など、様々なことを話し合い、今後の町内会・自治会の運営に役立てます。
イベントを一緒に開催する
地区連合会では、参加している町内会・自治会が一緒にイベントを開催することもあります。
例えば、夏祭りや運動会、バレーボールや卓球などの球技の大会などです。
地区連合会のイベントは大規模になるため、それぞれお町内会長・自治会長の役割分担を決め、具体的な計画を立てる必要があります。
町内会・自治会単体のイベントよりも参加者が多くなるので、盛り上がります。



ヒラリの地域でも、地区連合会のイベントが年に数回ありますので、町内会の代表としてイベントの企画と準備に関わり、開催日にも主催者側として参加しています。
行政との連携が強まる
地区連合会には、市区町村、消防署、警察署、学校(小学校や中学校)、地域の施設などの関係者が参加することもあります。
「信号機を設置してほしい」「道路の止まれが消えかかっている」「雑草が多すぎて公園で遊べない」「通学路に危険なところがある」など、町内会・自治会の要望や問題点を直接伝えることができます。
町内会長・自治会長からの要望を行政が全て受け入れてくれる訳ではありませんが、地区連合会を通じて伝えていると前向きに対応してくれるようになります。



ヒラリの地域では月1回、地区連合会があり、学区(小学校の区分け)の町内会長・自治会長が集まって情報交換をしています。
消防署と警察の方が毎回参加してくれて、防災や防犯の情報を伝えてくれます。
資料の回覧や掲示板の活用


地区連合会で受け取った資料や町内会・自治会からのお知らせを回覧板を使って、住民に回覧します。
行政が作成したポスターがある場合は、掲示板に掲示します。
若い世代が多い地域では、紙の資料ではなく、LINEやブログなどを使って情報を住民に伝えているところもあります。
回覧板を回してもしっかり見る人が少なかったり、掲示板を見る人が少ないため、今後はデジタル化していくと思います。
ただ、スマホの操作方法に詳しくない人(特に高齢の方)向けに、紙の資料もまだ必要な状況です。



ヒラリが毎月、参加する地区連合会では、かなりの数の資料が配布されます。
1世帯1枚ずつ受け取る資料があるときは、回覧板に資料が挟めなくなるときがありますので、2冊の回覧板に分けて回したりしています。
住民の意見を行政に伝える
町内会長・自治会長は、地域の代表として住民からの要望を行政に伝え、改善をお願いすることもあります。
要望には、公園の整備やゴミ捨て場の改善、街灯の増設、信号機や横断歩道の設置などのようなものがあります。
住民が直接行政に要望を伝えることもできますが、町内会長や自治会長を通じて伝えると個人の要望ではなく、地域全体の要望となりますので、要望が受け入れられやすくなります。
町内会長・自治会長は地区連合会で、行政の人と顔見知りになるため、影響力が大きくなります。



ヒラリは過去に警察署に信号機や横断歩道の設置をお願いしたことがありますが、この2つは関してはかなり設置が難しいようです。
町内会長・自治会長から連絡しても、お金がかかることはすぐには実現しませんが、行政の予算次第では対応してくれることもあります。
防災に備える
大規模災害を想定して、町内会・自治会で防災訓練を開催したり、防災用品の備蓄や避難場所の確認をします。
災害時には、町内会長・自治会長がリーダーとなり、地域をまとめる必要がありますので、いざというときに対応できるように備えが大切です。



ヒラリの町内会では独自の防災訓練はありませんが、連絡協議会が主催する防災訓練に毎年、参加しています。
連絡協議会の防災訓練には、各町内会長・自治会長だけが参加するタイプと、組長・班長も参加するタイプがあります。
新規会員の募集
新しく引越してきた住民に町内会・自治会について説明して、できるだけ入会してもらえるようにお話します。
これまで町内会・自治会に参加していない人への声がけは難しいですが、タイミングを見て入会を呼びかけることもあります。



ヒラリの町内会は、基本的には組長(町内を区分けした組の長)が引越してきた人に町内会の入会のお知らせをしてもらい、入会が決まったら、ヒラリに連絡が来るようになっています。
他にも、町内会長・自治会長は、自治連合会、地区連合会、連協議会(同じ地域にある町内会・自治会の会長の会合)で、会計や監査、広報などの役職が割り当てられることがあったり、市区町村から役職をお願いされたりします。



ヒラリも地区連合会の役職があったり、地元の神社(別の町内会)で規模の大きいお祭りがあるときは町内会の代表として会合に参加しており、5年に1度の国勢調査では調査員をすることもあります。
町内会長・自治会長の地位(身分)は?


町内会長・自治会長の地位(身分)対する考え方は、市区町村によって異なります。
例えば、三条市(新潟県)では、町内会長・自治会長になると「三条市の非常勤特別職」になります。
身分等
引用元:三条市|自治会・自治会長
三条市の非常勤特別職(第3条)
名古屋市(愛知県)の場合、町内会長・自治会長が区政協力委員となり、この区政協力委員は「非常勤特別職の地方公務員」となります。
町内会長・自治会長とは別に区政協力委員を置く町内会・自治会もあるようです。
身分
引用元:名古屋市|名古屋市区政協力委員について
非常勤特別職の地方公務員
安城市(愛知県)では、町内会長・自治会長は私人(一般の人)となり、特別な地位はないとのことです。
町内会長は特別職としての任用ができないとされ、私人として整理されることになりました。
引用元:安城市|町内会役員の地位と報酬について
市区町村によって、町内会長・自治会長の地位にはいろいろありますが、何かしらの地位が与えられるとそれだけ責任が大きくなり、仕事が増えるため、特別に地位があればいいという訳ではありません。
「何の地位もない方が町内会長・自治会長を気楽にできる」という人もいます。
町内会長と自治会長の違いは?


「町内会長」と「自治会長」は、基本的には同じで呼び名が違うだけです。
地域によっては、町内単位の場合は「◯◯町内会」という組織名のため、会長は「町内会長」、マンションなどの集合住宅の場合は「◯◯自治会」という組織名のため、「自治会長」と呼んでいたり、「町内会長」と「自治会長」の役割が分かれているところもあります。
総務省の「地縁による団体の認可事務の状況等に関する調査結果」によると日本全国で「自治会」が「41.1%」、「町内会」が「22.8%」あるため、「自治会長」と呼ばれていることの方が多いとも言えます。
町内会と自治会以外の呼び名もあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。


この記事のまとめ
今回は、町内会長・自治会長についてまとめました。
町内会長・自治会長には住民の安全と安心を守るという役割があり、仕事としては主に以下のようなことがあります。
- 定例会議を開催する
- イベントの企画や開催
- 地区連合会に参加する
- 資料の回覧や掲示板の活用
- 住民の意見を行政に伝える
- 防災に備える
- 新規会員の募集
地位域によっては、町内会長・自治会長が非常勤特別職の地方公務員になるところもあります。



このページの内容について、みなさんの町内会・自治会の情報を募集しています。詳細は「町内会・自治会の情報募集」をご覧ください。