町内会費・自治会費の集金というと、班長さんが各家庭を回って現金で集める方法を思い浮かべる方も多いかもしれません。ただ、銀行振込や口座振替、QRコード決済・クレジットカードなど、今はさまざまな集め方があります。
この記事では、それぞれのメリット・デメリットや役員の負担、住民の使いやすさを比較しながら、自分たちの町内会・自治会に合った集金方法をわかりやすく紹介します。
町内会費・自治会費の集め方を4つ比較
町内会費・自治会費の集め方には、従来からある現金集金のほか、銀行振込、口座振替、キャッシュレス決済などがあります。それぞれ役員の負担や住民の支払いやすさ、導入にかかる手間が異なるため、まずは全体の違いを見てみましょう。
| 集金方法 | 役員の負担 | 住民の利用しやすさ | 導入のしやすさ | 手数料 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 現金 | 大きめ | 利用しやすい人が多い | しやすい | 原則なし | 始めやすい一方、訪問集金や現金管理の負担がある |
| 銀行振込 | 中程度 | 比較的利用しやすい | 比較的しやすい | 振込手数料がかかる場合がある | 戸別訪問を減らせるが、入金確認が必要 |
| 口座振替 | 導入後は小さめ | 登録後は利用しやすい | 事前準備が必要 | 利用するサービスなどによる | 自動で引き落とせるため、継続的な集金に向いている |
| キャッシュレス | 小~中程度 | 人による | サービスの導入が必要 | 決済手数料などがかかる場合がある | QRコード決済やクレジットカード決済などを利用できる |
どの集金方法が一番よいかは、町内会・自治会の規模や住民の年齢層、役員の負担などによって変わります。 現金は特別な仕組みを導入せずに始めやすい反面、班長などが各家庭を回る場合は集金の手間がかかります。
銀行振込は訪問する必要がなくなりますが、振込手数料や入金確認について考えておく必要があります。口座振替は一度仕組みを整えれば継続的な集金を自動化しやすいものの、導入時には手続きが必要です。
キャッシュレスについても、町会費の集金にQRコード決済やオンラインでのクレジットカード決済を活用する例が出てきています。東京都では、2026年度の「町会・自治会デジタル化推進助成」で、こうした決済システムを利用した町会費徴収を支援しています。(参考:東京都生活文化局「町会・自治会デジタル化推進助成」) (生活文化スポーツ局)
現金から別の方法へ完全に切り替える必要はなく、複数の支払い方法を組み合わせることもできます。 ここからは、現金・銀行振込・口座振替・キャッシュレスについて、それぞれのメリットや注意点を詳しく見ていきます。
現金で町内会費・自治会費を集金する方法
現金での集金は、町内会・自治会で取り入れやすく、住民にもわかりやすい方法です。一方で、班長による訪問や留守宅への対応、集めた現金の管理などが必要になるため、役員側の負担も考えて運用する必要があります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 特別なサービスを契約せず始めやすい | 各家庭を訪問する手間がかかる |
| 現金に慣れている住民にもわかりやすい | 留守の場合は再訪問が必要になることがある |
| 振込や決済サービスの操作が不要 | 集めた現金の保管・受け渡しが必要 |
| 決済サービスの手数料がかからない | 集金済み・未集金の管理が必要 |
私の町内会では、各班の班長さんが町内会費を現金で集めています。特別な決済サービスなどを用意せずに運用できるわかりやすい方法ですが、班長さんが各家庭を回るため、留守宅への対応や集めた現金の管理といった作業も発生します。
昔から続いている方法をそのまま使うだけでなく、役員の負担や住民の支払いやすさを見ながら、今の地域に合っているかをときどき見直してみることも必要だと感じます。
班長などが各家庭を回って現金で集金する
ヒラリ現金集金では、班長などが各家庭を訪問して町内会費を受け取る方法がよく使われています。
住民側は現金を用意して渡すだけなので、銀行振込やスマートフォンの操作が苦手な方でも利用しやすいのが特徴です。新しいサービスを契約したり、支払い方法を住民へ説明したりする必要も少なく、これまで現金で集めている町内会・自治会なら、そのまま続けやすい方法といえるでしょう。
一方、班の世帯数が多ければ、それだけ訪問する件数も増えます。集金期間を決めたり、事前に回覧板などで集金時期を知らせたりしておくと、受け渡しがしやすくなります。
集金する人だけに負担が集中しないよう、集め方や期間をあらかじめ決めておくことも、継続しやすい運営につながります。
留守宅への再訪問や集金漏れに対応する



一度訪問して留守だったからといって、何度も時間を変えて訪問するのは班長さんにとって大きな負担になります。
現金による戸別集金では、住民と直接会わなければ受け取れないため、仕事や外出などで生活時間が合わない家庭への対応を考えておく必要があります。「留守だった場合にどうするか」を集金前に決めておくと、班長さんがその都度判断せずに済みます。
たとえば、再訪問する回数や期間を決める、連絡可能な方法があれば都合のよい時間を確認する、町内会で認めている別の支払い方法があれば案内するといった方法が考えられます。
また、集金できていない世帯を記録しておけば、「払ってもらったはず」「まだ受け取っていない」といった行き違いも防ぎやすくなります。未集金の確認を班長個人の記憶だけに頼らない仕組みを作っておくと管理しやすいでしょう。
集金表や領収書を使って受け取りを記録する



町内会費を受け取ったら、誰から・いつ・いくら受け取ったのかを記録しておくと管理がぐっとわかりやすくなります。
集金表には、世帯名、会費額、集金日、納入済みかどうかなど、必要な項目だけを記載しておけば十分です。現金を扱うからこそ、受け取った事実をその場で記録できる仕組みを用意しておくことが重要です。
名古屋市が公開している「町内会・自治会運営ハンドブック」のページでも、参考様式として「会費集金簿」が用意されています。(参考:名古屋市「町内会・自治会運営ハンドブック」) (名古屋市)
領収書を渡す場合も、誰に何円分を発行したのか確認できるようにしておくと、あとから確認が必要になったときに役立ちます。集金する班長と、最終的に会計を確認する担当者の双方が追える記録にしておくと、引き継ぎもしやすくなります。
集めた現金の保管と会計担当者への受け渡しに注意する



集金した町内会費は、受け取ったあとの保管方法や会計担当者への渡し方まで決めておきましょう。
数軒分なら少額でも、班全体の町内会費を集めればまとまった現金になることがあります。自宅などで長期間保管するより、集金後は金額を確認し、できるだけ早く町内会・自治会で決めた方法に沿って会計担当者へ引き継ぐほうが管理しやすくなります。
受け渡す際には、集金表の合計額と実際の現金が一致しているかを確認します。可能であれば、渡した人と受け取った人の双方で金額を確認しておくと、あとから差額が見つかったときにも状況を追いやすくなるでしょう。
「集める人」「確認する人」「その後どこで管理するか」まで流れを決めておくことで、班長が現金を預かったまま迷うことも減らせます。
町内会費・自治会費を銀行振込で集める方法
銀行振込は、住民が町内会・自治会の口座へ直接会費を振り込む方法です。各家庭を回る現金集金を減らせる一方で、振込手数料や入金確認など新たな作業も発生するため、導入前に運用方法を決めておくとスムーズです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 各家庭を訪問する集金を減らせる | 振込手数料がかかる場合がある |
| 役員が現金を直接扱う機会を減らせる | 誰が振り込んだのか確認する作業が必要 |
| 住民が都合のよい時間に支払える | 入金済み・未入金の管理が必要 |
| 銀行の取引履歴が残る | 振込に慣れていない住民への配慮が必要 |
東京都が町会・自治会などを対象に行った調査でも、対面以外の会費徴収方法として銀行振込を導入している事例が紹介されています。集金担当者の負担軽減や取引履歴が残ることなどが利点として挙げられる一方、振込手数料や振込者の確認といった課題も報告されています。(参考:東京都生活文化スポーツ局「令和6年度 東京都地域活動に関する検討会(第2回)事前アンケート 集計結果」) (生活文化スポーツ局)
町内会・自治会の銀行口座へ振り込んでもらう



銀行振込なら、班長さんが一軒ずつ訪問しなくても町内会費を集められます。
基本的には、町内会・自治会で会費の振込先を決め、住民へ金融機関名、支店名、預金種別、口座番号、口座名義など必要な情報を案内します。住民は銀行窓口だけでなく、利用している金融機関によってはATMやインターネットバンキングから振り込むこともできるでしょう。
銀行振込の大きな利点は、班長などが各家庭を訪問して現金を受け取る作業を減らせることです。 東京都の調査でも、銀行振込について人的負担の軽減や、現金を直接扱うリスクの軽減などが挙げられています。(参考:東京都生活文化スポーツ局「令和6年度 東京都地域活動に関する検討会(第2回)事前アンケート 集計結果」) (生活文化スポーツ局)
ただし、振り込んでもらうだけで集金作業がすべてなくなるわけではありません。振込期限や振込名義のルールなどを事前に決め、住民へわかりやすく案内することで、その後の確認作業も進めやすくなります。
振込手数料を誰が負担するか決めておく



銀行振込を取り入れるなら、振込手数料を誰が負担するのかは最初に決めておきたいところです。
金融機関や振込方法によっては手数料が発生するため、住民が負担するのか、町内会・自治会が負担する仕組みにするのかで運用が変わります。東京都の調査でも、銀行振込を導入する際の課題として、振込手数料の負担をどうするかという声が挙げられています。(参考:東京都生活文化スポーツ局「令和6年度 東京都地域活動に関する検討会(第2回)事前アンケート 集計結果」) (生活文化スポーツ局)
たとえば町内会費が年3,000円の場合、そこに振込手数料が加わると、住民から見ると実質的な負担が増えたように感じることもあります。反対に、町内会側がすべて負担すると、世帯数によっては年間の費用が大きくなる可能性があります。
会費の金額だけでなく、振込手数料まで含めて住民と町内会のどちらが負担するのかを明確にしておきましょう。 実際の手数料を確認したうえで、銀行振込を導入するか判断することが現実的です。
振込名義と会員名を確認できるようにする



銀行口座に入金されても、誰の町内会費なのかわからなければ確認に時間がかかってしまいます。
たとえば、世帯主とは違う家族の名前で振り込まれたり、名簿では漢字表記なのに振込履歴ではカタカナで表示されたりすることがあります。集合住宅なら、同じ名字の世帯が複数あることも考えられるでしょう。
そのため、案内文には「振込名義は世帯主名にしてください」など、町内会側で確認しやすいルールを記載しておく方法があります。必要であれば、班番号などを振込名義に加えてもらう運用も考えられますが、実際に利用できる文字数や入力方法は金融機関によって異なるため確認が必要です。
銀行振込では、お金が入ったことだけでなく「誰の会費なのか」を確認できる仕組みが重要です。 東京都の調査でも、銀行振込を導入した場合の課題として、誰が振り込んだのかを確認する負担が挙げられています。(参考:東京都生活文化スポーツ局「令和6年度 東京都地域活動に関する検討会(第2回)事前アンケート 集計結果」) (生活文化スポーツ局)
振込名義のルールを事前に案内しておくだけでも、会計担当者の確認作業を減らしやすくなります。
入金済み・未入金を管理する方法を決める



銀行振込に変えても、誰が支払い済みで誰がまだなのかを確認する作業は残ります。
町内会・自治会の口座に入った金額と会員名簿を照らし合わせ、「入金済み」「未入金」を記録していく方法がわかりやすいでしょう。世帯数が少なければ紙の一覧表でも管理できますが、世帯数が多い場合はExcelなどで管理すると確認しやすくなります。
銀行振込では、集金する作業が減る代わりに、入金状況を確認する作業が重要になります。 支払期限を決めて、その時点で未入金の世帯だけを確認する流れにしておけば、毎日のように口座を確認する必要もありません。
また、役員が交代しても同じ方法で管理できるように、確認する時期や記録方法を簡単に決めておくと引き継ぎもしやすくなります。特定の会計担当者しかわからない管理方法にせず、次の役員も続けられる仕組みにしておくことがポイントです。
町内会費・自治会費を口座振替で集める方法
口座振替は、住民があらかじめ登録した銀行口座から町内会費・自治会費を引き落とす方法です。毎回の訪問集金を減らしやすい一方、導入時の手続きや費用、住民側の登録なども必要になるため、仕組みを確認してから検討しましょう。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 毎回の集金作業を自動化しやすい | 導入時に手続きが必要 |
| 班長などによる戸別訪問を減らせる | 初期費用や基本料金などがかかる場合がある |
| 住民が毎回支払い手続きをする必要がない | 住民ごとに口座振替の登録が必要 |
| 役員が現金を扱う機会を減らせる | 振替結果や未収分の確認は必要 |
実際に自治会費の口座振替を支援する自治体もあります。宇都宮市では、自治会費の集金や現金管理の効率化、自治会活動の負担軽減を目的として、収納代行サービスによる口座振替を新たに導入する自治会への補助制度を設けています。(参考:宇都宮市「自治会費口座振替導入支援補助金」) (宇都宮市公式ウェブサイト)
口座振替なら町内会費を自動的に集められる



口座振替を利用すると、毎回班長さんが各家庭を訪問して町内会費を受け取る作業を減らせます。
住民があらかじめ引き落とし口座を登録しておけば、決められた振替日に会費を引き落とす仕組みにできます。一度仕組みを整えれば、毎年・毎月のように繰り返す集金業務を自動化しやすいことが、口座振替の大きなメリットです。
宇都宮市も、口座振替によって自治会費集金のための訪問を減らせることや、集めた現金の紛失などのリスクを避けやすくなることをメリットとして紹介しています。(参考:宇都宮市自治会連合会「自治会費口座振替導入支援補助金 申請マニュアル」)
ただし、残高不足などで引き落とせない場合への対応は必要です。口座振替にしても未納確認が完全になくなるわけではないことは、運用前に考えておきたいところですね。
口座振替を導入するまでの流れを確認する



口座振替は、銀行口座を用意するだけですぐ始められるとは限らないので、導入までの流れを確認しておきましょう。
宇都宮市自治会連合会の案内では、自治会内での検討、収納代行業者との打ち合わせ、総会などでの決定、収納代行業者との契約・利用申込み、自治会員への口座振替依頼書の記入依頼などが導入の流れとして示されています。(参考:宇都宮市自治会連合会「自治会費口座振替導入支援補助金 申請マニュアル」)
口座振替を検討するときは、まず利用できる金融機関や収納代行サービスを調べ、導入方法を確認するところから始めます。
そのうえで、役員会や総会など町内会・自治会で必要な手続きを進め、住民への案内や登録期間も設けるとスムーズです。導入そのものにも一定の準備期間が必要になるため、次年度から開始するなど、余裕を持ったスケジュールで考えるとよいでしょう。
利用条件や手数料を事前に確認する



口座振替を導入する前に、初期費用だけでなく、その後にかかる費用まで確認しておきましょう。
サービスによって、初期登録料、システム設定費、月額・月次の基本料金、1件ごとの振替処理料などが設定されている場合があります。宇都宮市の補助制度でも、初期導入費用や基本料金とは別に、1世帯ごとの振替処理料などが発生することが示されています。(参考:宇都宮市自治会連合会「自治会費口座振替導入支援補助金 申請マニュアル」)
「集金が楽になるか」だけでなく、年間でどのくらい費用がかかるのかを計算して比較することが重要です。
世帯数が多ければ、1件あたりの手数料が小さくても年間ではまとまった金額になることがあります。初期費用・固定費・1件ごとの費用を分けて確認すると、現金集金と比べて導入する価値があるか判断しやすくなります。
住民に口座振替の登録をしてもらう



口座振替を導入しても、住民が自動的に利用できるわけではなく、それぞれに登録手続きをしてもらう必要があります。
利用するサービスによって手続きは異なりますが、口座振替依頼書などを住民に記入してもらい、必要な手続きを進める方法があります。宇都宮市自治会連合会の導入例でも、収納代行業者との契約後に、自治会員へ口座振替依頼書の記入を依頼し、業者へ送付する流れが示されています。(参考:宇都宮市自治会連合会「自治会費口座振替導入支援補助金 申請マニュアル」)
住民には「いつから口座振替になるのか」「いつ引き落とされるのか」「どんな手続きが必要なのか」をわかりやすく案内しましょう。
また、すべての住民が口座振替を希望するとは限りません。宇都宮市の制度でも、従来の現金集金との併用が認められています。現金など別の支払い方法を残しながら導入する方法も検討できます。(参考:宇都宮市「自治会費口座振替導入支援補助金」) (宇都宮市公式ウェブサイト)
町内会費・自治会費をキャッシュレスで集める方法
キャッシュレス決済を利用すれば、町内会費・自治会費をスマートフォンやクレジットカードなどで支払えるようになります。QRコード決済とクレジットカード決済では仕組みが異なるため、それぞれの特徴や費用、管理方法を確認してから導入を検討しましょう。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 現金を直接扱う機会を減らせる | 決済手数料などがかかる場合がある |
| 住民がスマホやカードで支払える | サービスごとに利用条件や導入方法が異なる |
| 役員の集金・現金管理の負担軽減につながる | 入金確認や会計処理の方法を決める必要がある |
| 決済履歴を確認できるサービスもある | キャッシュレスを利用しにくい住民への配慮が必要 |
東京都では、2026年度の「町会・自治会デジタル化推進助成」で、QRコード決済やオンラインでのクレジットカード決済などを利用した町会費の徴収を支援対象としています。町内会費のキャッシュレス化は、実際に自治体でも支援・活用が進められている方法の一つです。(参考:東京都生活文化局「町会・自治会デジタル化推進助成」)
| 比較項目 | QRコード決済 | クレジットカード決済 |
|---|---|---|
| 主な支払い方 | スマホでQRコードを読み取るなどして支払う | 決済画面でカード情報などを入力して支払う |
| 導入方法 | QRコード決済に対応したサービスを契約する | オンライン決済などに対応したサービスを契約する |
| 手数料 | サービスによって異なる | サービスによって異なる |
| 入金・確認 | 決済サービスの管理画面などで確認する | 決済サービスの管理画面などで確認する |
| 向いている住民 | スマートフォン決済を利用している人 | クレジットカードを利用している人 |
QRコード決済で町内会費を集める方法



QRコード決済なら、住民がスマートフォンを使って町内会費を支払う方法を取り入れられます。
具体的な仕組みは利用するサービスによって異なりますが、町内会・自治会用のQRコードを用意し、住民がスマートフォンで読み取って支払う方法などがあります。札幌市では、町内会費の集金にPayPayを導入し、町内会専用のQRコードを使って支払う取組を紹介しています。(参考:札幌市「町内会・自治会のデジタル化支援(キャッシュレス決済)」)
QRコード決済を使えば、住民が現金を用意する手間や、役員が現金を受け取って管理する負担を減らせる可能性があります。
ただし、QRコードを作れば個人間送金などで自由に町内会費を集めてよい、というわけではありません。町内会費の徴収に利用できるサービスなのか、利用条件や契約方法を事前に確認することが必要です。
クレジットカード決済で町内会費を集める方法



クレジットカード決済も、町内会費・自治会費をキャッシュレスで支払ってもらう方法の一つです。
東京都の2026年度の助成制度でも、QRコード決済とともに「オンラインでのクレジットカード決済等」を利用した町会費の徴収が対象として明記されています。オンライン決済に対応したサービスを利用すれば、住民が自宅などからカードで町内会費を支払える仕組みを作ることができます。(参考:東京都生活文化局「町会・自治会デジタル化推進助成」)
横浜市が紹介している自治会の事例でも、キャッシュレス決済サービスを導入し、クレジットカードやPayPayなど複数の支払い方法を選べるようにした例があります。(参考:横浜市「自治会町内会活動事例集 ハマの元気印」)
利用できるカードの種類や決済方法、入金時期などはサービスによって異なります。決済手数料だけでなく、町内会側の管理のしやすさまで比較して選ぶとよいでしょう。
決済手数料や入金確認・会計処理に注意する



キャッシュレスにすると現金集金の手間は減らせますが、会計の仕事がすべて自動的になくなるわけではありません。
決済サービスによっては、決済金額に応じた手数料やシステム利用料などがかかります。また、住民が支払った日と町内会・自治会の銀行口座へ実際に入金される日が同じとは限らないため、入金サイクルも確認しておきたいところです。
導入前に「いくら手数料がかかるか」「いつ入金されるか」「誰が支払ったかをどう確認するか」まで確認しておきましょう。
決済履歴をCSVなどで出力できるサービスや、支払い状況を管理画面で確認できる仕組みもあります。横浜市が公開しているデジタル化事例でも、自治会費の支払状況を管理画面で確認し、納付データをCSVで出力できる仕組みが紹介されています。(参考:横浜市「自治会等における地域活動のデジタル化ハンドブック」)
会計担当者が無理なく扱える管理方法かどうかも、サービスを選ぶ重要なポイントになります。
現金とキャッシュレスを併用する方法もある



キャッシュレスを導入するからといって、最初から現金をなくす必要はありません。
スマートフォンやクレジットカードを日常的に使う人がいる一方、これまでどおり現金で支払いたい人もいるでしょう。特に町内会・自治会では幅広い年代の住民がいるため、一つの支払い方法だけに限定すると、かえって不便になることがあります。
横浜市が紹介している自治会でも、キャッシュレス決済を導入する際に、デジタルに馴染みのない住民への配慮から従来の支払い方法を残した事例があります。(参考:横浜市「自治会町内会活動事例集 ハマの元気印」)
現金を希望する人には現金、キャッシュレスを希望する人にはQRコードやクレジットカードというように、複数の選択肢を用意する方法もあります。
最初は希望者だけキャッシュレスにするなど、段階的に取り入れる方法も考えられます。住民の便利さだけでなく、班長や会計担当者が複数の支払い方法を無理なく管理できるかも含めて決めるとよいでしょう。
自分の町内会・自治会に合った集金方法を選ぶには?
町内会費・自治会費の集め方は、便利さだけで決めるのではなく、住民の使いやすさや役員の負担、費用などをあわせて考えることがポイントです。4つの方法を比べながら、自分たちの町内会・自治会に合う形を考えてみましょう。
| 集金方法 | 向いている町内会・自治会 | 役員の負担 | 住民の使いやすさ | 導入のしやすさ | 費用・手数料 | おすすめの使い方 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 現金 | 現在の方法を大きく変えずに続けたい団体 | 大きめ | 幅広い住民が利用しやすい | しやすい | 基本的に決済手数料は不要 | 現金を希望する住民向けに残す |
| 銀行振込 | 戸別訪問を減らしたい団体 | 中程度 | 比較的利用しやすい | 比較的しやすい | 振込手数料がかかる場合がある | 現金集金の代替・併用 |
| 口座振替 | 毎年の集金をできるだけ自動化したい団体 | 導入後は小さめ | 登録後は利用しやすい | 事前準備が必要 | 導入費用や利用料がかかる場合がある | 継続的な会費徴収 |
| キャッシュレス | スマホやカードを利用する住民が多い団体 | 小~中程度 | 利用する人による | サービスの導入が必要 | 決済手数料などがかかる場合がある | 現金などと併用し、選択肢を増やす |
住民の年齢層や利用しやすさを考えて選ぶ



集金方法を決めるときは、役員側の便利さだけでなく、住民が無理なく支払えるかも考えてみましょう。
スマートフォン決済を普段から利用している人にはQRコード決済が便利かもしれませんし、銀行振込や口座振替のほうが使いやすい人もいます。一方で、これまでどおり現金で支払いたいという住民もいるでしょう。
年齢だけで判断するのではなく、実際に地域の住民がどの支払い方法を利用しやすいかを確認することが大切です。
たとえばアンケートを取ったり、総会や回覧板などで希望を聞いたりする方法もあります。新しい仕組みを導入する前に、利用する住民側の声を確認しておくと、導入後の行き違いも減らしやすくなります。
班長・会計担当者の負担も含めて考える



住民にとって便利でも、班長さんや会計担当者の作業が増えてしまう方法では長く続けにくいかもしれません。
現金なら戸別訪問や現金の保管、銀行振込なら入金確認、キャッシュレスなら決済データの確認など、どの方法にも何らかの作業があります。宇都宮市でも、自治会費の口座振替を支援する目的として、戸別訪問や再訪問、現金管理などの負担軽減を挙げています。(参考:宇都宮市「自治会費口座振替導入支援補助金」) (宇都宮市公式ウェブサイト)
「住民が支払う手間」と「役員が集めて管理する手間」の両方を見ることがポイントです。
また、担当者が変わっても運用できるかという視点も欠かせません。特定の人しか扱えない仕組みではなく、次の役員にも引き継ぎやすい方法を選ぶと、継続しやすくなります。
1つに統一せず複数の支払い方法を用意する



町内会費の支払い方法は、必ず1つだけに統一しなければならないわけではありません。
たとえば、これまでの現金集金を残しながら、希望する住民には口座振替やキャッシュレスを利用してもらう方法も考えられます。宇都宮市の口座振替導入支援でも、従来の現金集金との併用が認められています。(参考:宇都宮市「自治会費口座振替導入支援補助金」) (宇都宮市公式ウェブサイト)
横浜市が紹介している自治会のデジタル化事例でも、現金と電子決済を併用しながら運用している例があります。(参考:横浜市「自治会等における地域活動のデジタル化ハンドブック」) (横浜市公式サイト)
住民が自分に合った方法を選べるようにすることも、集金方法を見直す一つの考え方です。 ただし、選択肢を増やしすぎると会計側の管理が複雑になるため、無理なく管理できる範囲で組み合わせることも忘れないようにしましょう。
集金方法を変更するときは規約や総会での決定方法を確認する



町内会費の集め方を変えたいと思っても、役員だけですぐ変更してよいとは限りません。
町内会・自治会はそれぞれ規約や運営方法が異なります。横浜市の自治会町内会規約例では、会費について規約に定める例が示され、総会を重要事項の意思決定機関とし、規約変更やその他の重要事項などを審議・議決する形になっています。(参考:横浜市「自治会町内会規約例」) (横浜市公式サイト)
集金方法を変更する前に、自分たちの規約で会費や意思決定についてどのように定めているか確認してください。
集金方法まで規約に細かく書かれていない場合でも、導入費用が発生したり、住民の支払い方法が大きく変わったりする場合は、役員会や総会で説明して合意を得ることを検討するとよいでしょう。「誰が決めるのか」を先に確認しておくことで、導入後のトラブルも避けやすくなります。
現在負担になっている集金作業から見直す



最初から集金方法をすべて変えようとせず、今どこに負担がかかっているのかを整理してみましょう。
たとえば、「留守宅への再訪問が多い」「班長さんが多額の現金を預かっている」「会計担当者の入金確認に時間がかかる」など、町内会によって困っている部分は違います。まず現在の集金方法で一番負担になっている作業を見つけ、そこを減らせる方法から検討すると考えやすくなります。
実際に町内会を運営していると、新しい方法が便利そうでも、地域全体を一度に変えるのは簡単ではありません。現金集金を続けながら一部だけ別の方法を試すなど、段階的に見直す方法もあります。
役員の負担軽減と住民の使いやすさの両方が改善できるかを基準に、自分たちの町内会・自治会に合った形を探していくとよいでしょう。
この記事のまとめ
町内会費・自治会費の集め方には、現金、銀行振込、口座振替、キャッシュレスなど、それぞれ特徴の異なる方法があります。役員の負担を減らしやすい方法がある一方で、手数料や導入手続き、住民の利用しやすさなども考える必要があります。
大切なのは、便利そうな方法へ一気に変更することではなく、自分たちの町内会・自治会の状況に合った集金方法を選ぶことです。現金を残しながら銀行振込やキャッシュレスを併用するなど、複数の方法を組み合わせることもできます。
まずは、現在の集金方法で班長や会計担当者がどの部分に負担を感じているのかを整理してみましょう。そのうえで、住民の使いやすさや費用、規約なども確認しながら、無理のない方法から見直していくと進めやすくなります。








